天国と地獄<普及版> [DVD]

天国と地獄<普及版> [DVD]

1963

監督
黒澤明
キャスト
三船敏郎(権藤金吾)
仲代達矢(戸倉警部)
山崎努(竹内銀次郎・犯人)

横浜を舞台にした黒澤明監督作品。とりあえず普通におもしろい。
下を見下ろす丘の上の家から海側の黄金町を一望するという横浜らしいシチュエーション。しかし劇中では丘の上に建つ天国のような場所とその下の3畳の部屋という対比によって憎悪の根源として描かれる。住んでいるのでよくわかるが、山のアップダウンは移動によって見える風景が大幅に変わる。江ノ島が山に見えたり、見えるもので位置がだいぶ限られる。最初の方のシーンで眼下に家の屋根が多く連なっているシーンがあった。しかし一方では海に開く地形が現れる。地形としての多様性、それをうまく使った映画だと思う。
1963年の作品であるが故、ストーリー中に出てくるものはめずらしいものばかり。犯人が絞られていく過程ではその不自由さ(今と比較しての)で焦点が定まって行く。劇中では重工業の工場や電話付き特急列車、焼却場、トヨペットクラウンなど高度経済成長を象徴するが登場するし、恨まれる権藤の家は冷房がきいていて生活の質の高さとスラム、警察署の扇風機が格差としてのコントラストをなしている。