・瀬戸内の可能性

瀬戸内国際芸術祭。

瀬戸内海にある島々を舞台に、アート作品が点在する中を巡る旅。
総合プロデューサーを福武總一郎氏、総合ディレクターに北川フラム、コミュニケーション・ディレクターに原研哉といった蒼々たるメンバーがトップ。
香川県は、イサムノグチ、猪熊玄一郎など、多くの現代美術家の他、今回展覧会の題材となり、香川県に多くの作品を遺した丹下健三など建築家の輩出もある。その素地を使い、香川県行政としても力を入れているようだ。行政、実行委員の経済、投資効果にはいろいろと問題点もあるようだが。
http://tabimanabi.blog110.fc2.com/blog-entry-49.html
http://blogs.yahoo.co.jp/jeepkotani1968/52320936.html
http://www.mentsu-dan.com/diary/bn2010_12.html (12/11付)


それはさておき、今回の芸術祭、広告宣伝にかなり力をいれているのが目に見えてわかるし、来場者も多いようには感じた。ここで思うことにはやはり、来場者の内情、そして島民、地元民の方々の心情といったところ。
来場者には自分の見た中では美大の学生など一般的にはどちらかというとデザインやアートに興味のありそうな人と、今回こういうのをやっているから来てみましたみたいな一般的観光客とは半々くらいの構成かなと感じた。つまり、普段からアートというものにお金を落とす人と、アートを観光資源として今回目的化して訪れた人。もし、後者が多くいるのであれば、少しは身近にアートが浸透してきたのかな、とも感じる。アートを消費資源として認識されれば、それはもうアートではないかもしれない。これだけ「アート」と目されたモノを羅列されると一つの作品に込められた深い思考も「消費」として思考停止に毛が生えたくらいの話でしかない。
今回、パスポートを使わず一つひとつにお金を払った人はシビアにみるとは思うが、4500円のパスポートで見てしまった人にとってはこのトリエンナーレはアートバブルの一遍でしかないかもしれない。通常の観光地との大きな差異は、訪れた人との生活の延長として考えられるかどうか、すなわち自分の生活とはかけ離れた作品群を純粋無垢に受け入れ、蓄積されるか否かにある。名物の食べ物を食べてうまいと感じるのと同様に、アートに感銘を受けようとする人が多くなってきたのであれば、これはこれでおもしろいことだなと思う。



数年前からベネッセコーポレーションを中心に行っているアート事業であるが、島での美術館の建設に加えて、拠点となる港、市街地でも再開発が行われている。

丸亀商店街再開発では、少し変わった方法をとっている。土地の所有を変えずにビルの床をまちづくり会社が取得・運営する事業スキームとし、土地費をイニシャルコストとして事業費に顕在化させない仕組みにしているのだ。地権者はそれぞれの土地を所有し続け、まちづくり会社と定期借地権契約を結び、土地を貸し出す。建物はまちづくり会社が所有、運営。まちづくり会社は、家賃収入から、建物の管理コストなど必要な経費を除いた分を、地権者に分配。地権者はこの事業に土地を投資し、地代という形で配当を得る。こうすることで、土地の利用と所有が分離、土地はまちづくりに望ましい形で合理的に利用されていく。また、まちづくり会社が建物全体を一体的に運営することができ、マネージメントが合理的かつ体系的にできるメリットもある。このような形態においては、地権者の合意を得ることが最大の課題。大きな苦労があったことが想像できる。自分の土地を自分のためだけに活用するのではなく、街全体としてイニシアティブをとりながら、そのリターンについても合意を重ねて行く必要があるからだ。
地権者が土地を「投資する」ということは、「リスク」と「リターン」を伴う事業であること。つまり、地権者はテナントの売上から家賃収入が期待できるが、その額は一定ではなく、テナントの売上によって増減するリスクを含む。これを「オーナー変動地代家賃制」という。このようなしくみの下、地権者は、テナントと協力をして売上増に努めなくてはならない。地権者とテナント、まちづくり会社が同じリスクを背負い、同じ目標を目指して協同で真剣に商売に取り組んでいくことが、町全体の魅力を高めていくことになる。
エリアとしてブランディング向上をしていくことは、元々あるマーケットとの関連性も見据えつつ自分の土地活用をしていく点で土地オーナーにとってはメリットの多い反面、しがらみなどのデメリットもでてくる。これをバランスとるのがまちづくり会社ではあるが、メリットデメリットを一体にして資本増強と言う形で考えれば全体としては良点、ということなのだろうか。以前、まちづくりに参画した西郷氏の講演をきいています。
高松丸亀町商店街HP http://www.kame3.jp/

この再開発は、平成13年に都市計画決定し、権利変換・建築設計などに着手し、平成18年に建築竣工している。
平成17年から18年にかけて、五町が高松市と合併したことを踏まえたとしても、近年人口は微増、生産年齢人口と高齢人口に至っては前者は減少し、後者は増加する。
高松市の課題として、他商店街と同様に、床面積あたりの売り上げの伸び悩み、自動車保有率向上による郊外化などが上げられ、その抜本的解決策としての再開発が行われた





参考:高松市人口統計