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ストーリーはある倉庫の中で登場人物全員が一時的に記憶喪失になり気を失っている場面から始まる。
主人公(既に最初に目覚めた人物が主人公だと決めつけてしまっているが)は本当は潜入捜査をしている警察官であるがそれすらも覚えていない。物語が進む上でどうやらここには誘拐犯とその被害者がいるということはわかったが誰が誘拐犯で誰が被害者なのかもわからない。つまり堅固にロックされた中に存在する人間はフラットな関係なのだ。この関係性が示唆することは、何も信頼できるものがないということ。他人の言っていることが信用できない状況なのだ。
そんな中、正義感たっぷりの主人公がイメージ通りの警察官で、それを信用していたのが被害者、髭を生やして悪そうなのが誘拐犯、というのは結果論で、主人公は潜入捜査をしているところまでしか思い出せないので観客の中では彼が誘拐犯であることになっている。
ここがこの映画のひねってもう一度ひねってある所で、主人公的描写の上でそれを誘拐犯とし、「主人公」という先入観を裏切る。さらに物語の中で作られる状況は登場人物の関係が並列化されているため主人公すらも信頼しがたく、さらに観客側にはそれぞれの人物の記憶の断片しか与えられないため観客側に何も拠り所がない状態で物語は進むことになる。
つまり、この映画は今までの映画のように観客を物語に没頭させてヒエラルキーを生むのでなく、映画と観客を並列化する試みなのである。たぶん。