CSR入門―「企業の社会的責任」とは何か (日経文庫) CSR入門―「企業の社会的責任」とは何か/岡本 享二
CSR(Corporate Social Responsibility)」という概念は業種、国によって様々である。情報化を背景に企業倫理などを含む概念ではあるが「企業の社会的責任」と訳されるこの語の最大の射程は、地球である。絶対的権力構造のヒエラルキーが相対化し経済が全ての構造の基になったこの時代に、地球の責任を負わなくてはならないのは他人ではなく一人一人の個という存在とその集合である企業である。企業が自律的にしろ他律的にしろ行動を起こせば結果的にはCSRではあるがその中でもコンプライアンスメセナ、SRIは社会からの要求が高まる上での戦略に近いものがある。一見ネガティブではあるが経済一辺倒だった企業が他に関心をもったというだけで利益はあると思う。今思えば神戸で毎月やっていたフェリシモの文化的な著名人を呼んでの講演会もその一つだったのだろう。企業がそのネットワークを利益以外に使い市民に文化の提供をするメセナは実は自分も体感していた。それによって自分もいろいろと知識が増えたり考えるきっかけになった。これはまさしく、ただ後援するという受け身の進出ではなく企業の積極的な文化への進出でありカテゴリーを横断する地球上の変化だったのだ。