東大の松村氏の講演会。
アジアの歴史から都市、地球規模へとその範囲を拡大していく。歴史が資本主義へどう介入していけるか、現実とどう向き合っていけるかを考えさせる公講義だった。
3つのキーワード(研究・実践していること)を軸に講義は展開した。
1つ目は全球都市…。全世界の都市を歴史、環境などの側面から全て整理し、マクロな視点として全地球的に、全歴史的に都市のメカニズムを多元的に理解する。そのことから共通問題と個別問題を抽出することを目的としている。この研究、実践は全ての面で都市氏を書くことで、因果関係、拘束条件、先例を発見できる。さらに、都市の両面性を検証することで文明を育む側しか見てこなかった工学としての建築に新たな視点を生み出すことになるだろう.
現在の建築ジャーナリズムなどを見ていると、地球環境への配慮が一定の範囲でなされていることはみることが出来る.しかしそれは明らかに前面に出てくるようなことではなく、どこかネガティブな要素を孕んでいると思える.新しい建築や空間の紹介することと二項対立的な事象である環境破壊の現状はどのように伝えられればいいのだろうか。発展を目的とした工学と、持続可能性を求められる環境問題.その狭間に位置する都市、建築はどこへ向かうのか.

2つ目は保存関係の問題.
藤森照信の建築探偵は都市にストーリー性をもたせつつ文化遺産のリスト化していく
氏はスリランカの遺産調査において「ヘリテージバタフライ」という指標を持ち込み、専門家だけでなく一般の人々、つまりその建物を使用している人々の評価を総合的に検証し、その建物の存続性を判断した.この指標は保存問題において常に不透明になっている総合的な評価を透明化し、経済性とノスタルジーの一方への偏向を防ぐものとして機能する.保存保存といっても、人が住まない町を作っても仕方ないのである。

3つ目はアーバンリテラシー構築プログラムという教育への介入である.
小学生の授業で、自分の町を検証させることでまちの歴史的観点からの視点をつけ、知ることから自分の町に愛情を抱かせ、よくしていく方向に自分たちで決めさせる。さらに担当する大学院生も社会とどう結ばれるかという見方を豊富にするという目的もある.

最後の総括として氏は責任ある介入を行っていかなければならない。社会学と違い、都市、地球に対しミッションをもつ工学は都市、社会を直接動かす.この時の建築史の任務、可能性は洞察、過去から学ぶ省察、知的インフラとしての規範、教訓、継承であるとする.