マスメディアとしての近代建築/アーカイヴ
「近代建築」とは何か。
この論文は近代建築への移行を記すものである。
建築は固定された壁による定義から秩序の展開する映像による定義に移行した。つまり、情報化によりプライヴァシーなどの問題が多発する中、物理的な守ることに加え、情報的な守りをすることが建築の存在意義として確立した。メディアと都市の相互関与により建築を見る上で空間と表象の両方を見なければならなくなった。メディアとしての見方(表象の機構としての見方)と既存の建築概念(古典的概念)はそれぞれの建築現場、建設現場とメディアを生み出した。
その建築への観点を変える建築家として登場するのがコルビュジェとロースである。両者のアーカイヴに対する扱い、その痕跡によるアーカイブ建設は近代都市の経験のアナロジーそのものである。それは「破壊=建設」により再構築つまり回復しようとする終わりなき運動という批評を多く生み出したロースと、「保存=忘却」により多大な量の情報を残し我々によく見せることで結果的には隠され、情報のプロムナードなる歴史空間を構築したコルビュジェに象徴され、本論で展開されて行く。