ダニ・カラヴァン展
環境造形、彫刻などを手がけるアーティスト、ダニ・カラヴァンの展覧会。
といっても、氏は最初から環境造形の作家であったわけではなかった。絵画や舞台芸術などを学び、現在はランドスケープの中の彫刻などを手がけている人物だ。この展覧会では、絵画から始まった氏のアーティストの人生を紹介する。その第一章は絵画。大胆な風景画が多く、鉛筆で描かれた荒く特徴だけを抜き取っただけのような絵が並ぶ。風景の強度を感じるような力強い構図は、現在の氏の作品が静かな力強さをもつ点と共通している。この主張せずとも感じられる強度は、その後の舞台芸術や壁画にも感じることだった。作品は直線や曲線を用い、グラフィカルなイメージが印象として見られるが、生物的で生命を感じる。
環境造形家の氏の作品は風景の中にある。しかし、そこに佇んでいるのであって決して介入しようとはしない。人間の行為のほとんどが暴力的に土地に刻まれるのに対して、何かを表明するように、歴史を象徴するようにオブジェは存在するのである。