蛇にピアス
原作:金原ひとみ 第130回芥川龍之介賞受賞作『蛇にピアス
監督:蜷川幸雄

渋谷での19歳の少女。ぼくはいつも渋谷にいくと楽しそうで混じりたい気持ちが少し出る。さわいでわめいてしたい。しかし、一時期から、そこにいる人たちの普段の暮らしなどが気になってきていた。毎日毎日クラブにいるわけでもないだろうし、どこかで金を稼がないといけない。人生自体遊んでばかりでいられるものでもない。大学生のとき、趣味か仕事かわからないような「建築」をやっていて趣味やって人生おわるのかと思うまでは毎日好きな服を着て、きらびやかで軽い関係しかない渋谷などの繁華街にあこがれたものだ。
しかしここでも描かれている、社会現象にもなっているような心の空隙というものは存在する。「痛み」が生の証明になるような、偏屈した若者の心。タトゥーや舌ピアスの身体改造によって痛みを自分に与える。社会に埋もれた心の空隙を埋めるためには、誰か特定の人がいるというより、独りにならないための行動が繰り返される。主人公の彼氏が人を殺すたびに、それを悟られぬよう警察の目を欺くための行動。何かに寄りすがって生きる若者の「弱さ」をあぶりだす作品だった。