レインマン (アルティメット・エディション) [DVD]  レインマン  1988アメリ
監督:バリー・レヴィンソン
主演:ダスティン・ホフマントム・クルーズ
「ただ抱きしめたかっただけだ」
自閉症と診断されている人たちのなかには体に触れられることに敏感に反応してしまう人もいる。
チャーリーとレイモンドがべガスのホテルでダンスをするシーンがある。弟のチャーリーがレイモンドにダンスを教える。映画の後半になってレイモンドとチャーリーは少しずつ心を通わせているはずだった。しかし、素直な感情を出すということ、人と接することが苦手な彼は抱きしめられるのを拒んだ。これはチャーリーにとって彼に何も悪意がないとわかりながらもつらい瞬間だっただろう。しかし2人が旅に出る前のチャーリーであればただ抱きしめたかっただけだというだけでは済まなかっただろう。自由奔放に暮らしていたチャーリーの、成長の一端を見れた場面だった。

「チャーリーがふざけた」
朝食のホットケーキを食べるとき、この台詞とともにレイモンドが笑う。チャーリーも笑う。この映画は全編を通してレイモンドが自閉症を克服するような短絡的で幸せなハートフルムービーではない。しかし、このような瞬間は実際にも絶対にある。この後チャーリーが医者に「心が通じた」と言っているがこの瞬間こそがチャーリーにとっても最高に幸せな瞬間だったのではないだろうか。

「兄貴ができてよかった」
いきなり兄がいることを知り、しかも自閉症と診断されている事実を突きつけられたチャーリーが一週間の旅でここまで言えるようになるのは、やはり兄弟であるからだと思う。自分の感情を直接伝えられない葛藤がありながらも、自分をわかってもらうことが相手をわかることと同義であることが理解できたからこそのシーンだ。