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　　スラムドッグ＄ミリオネア
監督：ダニー・ボイル　
人生というものは陰陽論なのであろうか。
スラムで育った子どもが体験したものがクイズミリオネアで問題として出題されて最終的には最高額まで挑戦する。インドの社会的現実を突きつけると共にどこか人生はゼロだと言われているような気もする。現状の映画界、つまりアメリカを中心にした社会にプラスになるものがノミネートされるというアカデミー賞に選ばれたというのはいまの経済状況を考えるとうなづける。
物知りが有利とされるクイズ番組で学術的なことは何もしらない人が最高額を獲得する。知識的な価値と体験的な価値。どちらが高いということはない。しかし、体験的価値も知識的価値と同価値になり得る。実際、この映画のなかでギャングの手下になり金を得ていく兄と好きな女の子を人生かけて追う弟の対比は、人生の本当の価値は何かということを考えさせる。
遠回りした分、後になって人間的な成長があることを確信できる。