港都横浜の誕生 @横浜開港資料館
開港150周年を迎える都市、横浜。300万人を超える人口を有する政令指定都市は、海外の船舶が渡航する以前、単なる農村だった。それがいまでは大企業の本社だ、アートだと騒がれる日本有数の確固たるアイデンティティをもった都市となった。
この展覧会は名前の通り横浜の近代化を追う。鎖国から開国へ、開国から近代化へ、日本の歴史とともに横浜は歴史を重ねていった。
しかし私は、「横浜」というアイデンティティは船という物理的な制約からネットや自由貿易など情報の制約のなくなったいまでも失われずに保っている、極めて市民的に残っているのではないかと思う。開港以来、横浜は近代化の「実験場」として日本全国に技術などが行き渡る前からアヴァンギャルドな行為を行っていた。造船、電信、郵便、鉄道など常に他国からの新しい文明を経験し、実践に移す。それが成熟するためでなく、どこか運命として、義務としての認識があり、それをいまでも横浜には感じることができる。
その表出がクリエイティブシティだというのが正しいのかはわからない。しかし、横浜は、神奈川はこれからの時代において持つべきものをもち、それを認識した動きはいまも変わらず動き続けているのだと思う。