・大阪だらだら日

昼から中之島国立国際美術館へ。「絵画の庭」展拝観。ゼロ年代の作家の特集のような展示であった。それぞれ独特の世界観がホワイトキューブごとに驚くほど強く出ておりそれらはコントラストを成して全体は構成されている。
その後夕方会おうと思っていた友人は仕事が入り,予定は学部時の晩飯だけになった。しかも少し遅れるということで、腰を据えて本を読む事にした。
しかし、このことは6年前からぼくにとっては大きな大阪の問題としてあるのだが、梅田には静かなカフェが全く存在しないのである。少し御堂筋,四ツ橋筋を南下すれば、靭公園付近の静かな環境を利用した店舗が見受けられるが,梅田のカフェは全てがしゃべるためにあると考えてよい。都市ならではあるが、コミュニケーションツールとしてのカフェなのである。それはそれでいいのだが、横浜に行くまで通っていたカフェは中崎町にあって、中崎町の存在、特にコモンカフェの存在はぼくにとって大きなものであった。オーナーがいて、店主が曜日ごとに入れ変わるシステムには店主が落ち着いてそこに腰を据えているというわけではないからか、客と同じ目線に店員が立っているように思えた。そのとき仲の良かった人がそうなだけかもしれないが。しかし、大都市から離れているからできたのであろう。そういう意味では大都市近郊がコミュニティ的には郊外的かつ距離的には都市であるという性質をもっている。
まあとりあえず梅田にはカフェと呼べるカフェは存在しないのだが,1つ大穴があった。それは、JR大阪駅にあるデリカフェ。JRを降りた人びとが忙しなく行き来する片隅で、その速度の裏にあるようなデリカフェは、うまく時間の流れが対流しているような空間になっている。実際、入れ替わる人は多いけれど,少し暗くなった店舗全体では、少しの動きにしかならない。結局、ここで4時間程滞在して,本を一冊読み切った。
21時前くらいまで友人を待って、少し遅めの晩飯へ。大阪駅前の開発の話を少し振ってみる。大阪駅前の開発は以前ぼくが帰省してきたときからその発端は見えていたのだが、最近は顕著にその全貌が明らかになりつつある。JR大阪駅の上空には大きなトラスの大屋根がかかり、プラットホームを完全に内部かする構想のようだ。アクティ、しかなかった構想ビルに加えてアクティの前に一棟、線路をはさんで一棟、そして阪急百貨店の容積率の大きな改修による高層化と、大阪駅前の容積は一気に増えた。このことに対して、今でさえ全国的に空室率が高いオフィスなどが存在する上にこの容積過剰状態は、少なくとも10年後には廃墟をもたらすだけである。このことに関して,すこし空室利用の方法を大規模でもいいから考えておくべきだと思っていた。しかしSは、何を考えているかわからないと嘆くだけ。少し会わないだけで思考の方向性はここまで変わるものかと少し戸惑う。
まあそれはいいとして、カッパ横町のあたりが少し変わっていたので言ってみると,目当てのお好み焼き屋はじめ数件のラストオーダーが22時という信じられない閉店時間。結局、いつも大阪では結構お世話になっているココドコにいくことに。
修士論文の発表準備を終えたというSに修論を見せてもらったのだが内容はとても充実していた。質、量ともう少しやれば博論としても成立するのではないか、といったくらい。ぼくの修論も渡してはおいたが、さあ、どんな反応が来るのか。