メゾン・エルメスのサラ・ジー
そこらへんのホームセンターで手に入りそうなものを使って大きなものを作る。しかしその中の機能という方向性、例えば洗濯バサミであったり引っ張られる紐であったりは失われていない。ただめちゃくちゃにやったという感じではない。
長谷川祐子はブックレットの説明でそれぞれが自発的な活動を伴う物質であり、全ての細部が秩序を持ち、不可逆的で確率論的によって変化しているカオス理論の世界観と類似している。と言っている。
つまりこのアート作品は連ねられる(連なる)個とその結果としての無秩序的な全体をコンセプトとして持っている。
このコンセプトは極めて雑誌的であると同時に現代的でありその編集の自由性あるいは無意味性を表象している、一つの機能(方向)の自然な表現体である。
また、この展示には秩序が存在する。それは方向性をもった個が繋がれ一つの文脈を構築していることでありそれが外部ではなく内部としてのメゾンエルメス、すなわち東京という都市とは明確に違う構造を持つ。