モバイル・アート展/代々木体育館敷地内
シャネルによる移動型展示。ザハ・ハディト設計の展示施設は仮説とは思えないほどのクオリティであった。
丹下健三設計の代々木体育館と呼応した曲面のフォルムは今までメディアの中でしかみたことのなかったものであるが、その神秘的な表情は既存の建築概念を払拭するものだと今更ながら感じた。体育館の駐車場に横たわる姿は、そのフォルムとテクスチャーにより都市という喧騒から異次元の世界への入り口を示唆しているようだ。
内部空間のエントランス部でヘッドホンを装着し、その後はその音声に従って空間、アートを体験していくというプライベートな経験をする。そのエントランスでは次の空間は見えず、外形を反転させた奥行を失う空間になっており、まったく新しい建築×空間のアトラクションのプロローグとして十分な強度を持つ。
中のインスタレーション束芋など多くのアーティストがシークエンスの一端を担っている。耳元で囁く老婆の声に導かれ、様々な世界を順番に巡っていく。