東京メトロ副都心線新渋谷駅/安藤忠雄
地下に埋め込まれた巨大な卵。そのプロジェクトは数十年前の氏の構想である中の島から続いている。「アーバンエッグ」と名付けられているこの作品群はその名の通り地下に卵が埋め込まれる、すなわちダイナミズムを孕んだ形態が都市というカオスの一部に凝縮される。フォルムだけでいえばコンクリートの球体が鹿児島(鹿児島大学)と長野(長良川国際会議場)で実現している。
しかし、ここではそこまで形態に対する執着はみられない。それよりも地下でありながらも地下ではないような風、光の抜けである。フォルム自体は楕円断面を「示唆的に」表現はしているが殻は破られ何かを閉じ込めるというよりは開く、閉鎖性から開放性への過程をみているようだ。断面的に地上 - 改札階 - コンコースをドライエリア、楕円形平面のヴォイドでつなぎ、殻の部分は重々しいコンクリートではなく円の連続でもはやそれは地下の空への解放である。