原広司講演会:「小さな建築」としての住居/国士舘大学
「自分が偉いと言えば言うほど周りを殺すことになる。」とリーマンの引用を出す。その相対的な視点を建築家でいうとロッシの「小さな建築」という概念であるらしい。
原さんの数学への傾倒はこのことがきっかけになったのだろうか。ある形から穴を空けていく有孔体、住居に都市を埋蔵する反射住居(リフレクション)、個の自律、部分集合の開くと同時に閉じている二項対立的現象をまずざっと説明。その延長として、位相幾何学。計画学的な機能ではなく、一回一回経路が変わるような建築の道具として位相幾何学を援用するという。藤本壮介が10+1かどこかで金閣寺の庭園でそんなことを言っていたと思う。均質空間の対立として。
自律する概念を形成しつつ、理論と実践を往復する原広司。特にものを語らない建築家が多いこの時代に、おそらく原の論理は他のアーティスティックな理論の少ない建築家たちの代弁者として、時代を理論化していくのだろうと思う。