ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか? ビル・ゲイツの面接試験/ウィリアム・パウンドストーン
ビル・ゲイツ率いるマイクロソフト社など、シリコンバレーのソフトウェアの大企業の一風変わった面接試験。
日本の就職試験には関係ないと思って楽しむための本として購入したが、そうでもなく、様々な面接に対しての免疫がつきそうな内容だ。
「秤を使わずに飛行機の重さを計ってください」「六本のマッチ棒を使って正三角形が4つつくってください」など一瞬?がついてしまう問題群。しかし、それらは至って論理的に明快に解ける。少し引いて糸口を見つけ辿って行く。問題の種類によって戦略が異なってくるだけだ。
このような問題の問題集のように、本文中に出て来た問題には巻末にきちんと解説がついているので、ぼくが最初求めていた頭の体操的な本としても興味深い。しかし、この本は解説書である側面の他に、パズルが使用されるようになった歴史やその欠点なども詳細に考察されており、単純に読み物としてもよい。問題の種類によってはそれで志望者を不採用にしてしまっていいか疑わしいものもある。頭の回転はいいかもしれないが多くの人がそうであるように熱意があるかが判断できないなど、単に頭のいいだけではだめな企業の採用試験の難しいところがここまでくると露出してくる。
日本の採用試験が段階的に、かつ密接的にできていることを考えると、能力的な「人間」ではなく志望者を「人」としてみるということが重視されているのがよくわかる。しかし、本文中にあった圧迫面接についてはこの書の内容が正しいと思える。すなわち、面接の場で受ける圧迫と、社会に出てからの圧迫とでは種類が違うということ。そういうネガティブな要素ではなく、志望者が最も力を発揮できる環境にすることがよい面接であると思う。
すこし横道にそれたが、日本の就職試験を相対化し、自らの立ち位置を確認するのには良い本だ。ブックファーストで就職本ランキング2位になっていただけある。