冬と雨。
京都の醍醐味を語る上で、この状況というのは外せない。もちろん、紅葉の時期でもその時期でも、京都は様々な表情を浮かべ、来訪者に独特の雰囲気を醸し出す。しかし、肌寒い風と爽やかな湿気に包まれた京都はぼくにとってはなぜかとても魅力的だ。
東京に住み着いてから8ヶ月余経ったぼくにとっては久しぶりに感じた京都の情景。木枯らしの吹き始めた季節、少し曇った空と湿ったアスファルト。澄み切った空気の向こうに見える北山を見ると学部時代に何度も来た京都工芸繊維大学(京工繊)の思い出とともに感情の起伏が蘇る。
京工繊には大学受験にも、編入試験にも来た。さらに学部1年から知り合いもでき、去年の卒計展実行委員の際にも度々訪れている。いい意味でも悪い意味でも青春時代のある一部分を担っている場所だ。
今日いっしょに京都へ来たFも、結構長い付き合いになる。出会った時期は建築というものにふれるようになってから少ししてだが、他大学の友人のなかでは長い間議論をしてきた仲間だ。
東京から帰ってくるとぼくの中での関西という構成要素としての大きさがよくわかる。それはいつも懐かしいと言うより新しい刺激のような、何度読んでも新しい発見のあるような密度の濃い本のような存在。