今日は山手をぶらぶらしました。というのも、大阪から友達が来ていたからです。
友達、といっても少し年上の人ですが。カフェや企画などの仕事をしている人で、大阪にいたときは世話になったというか仲良くしていただいたのでせっかくの横浜を楽しんでもらおうと思っていました。しかし困ったことに横浜にはノープランで来るので、回る所などは任せたという感じで、スケジュールを丸投げされてしまったのです。まぁ、スケジュールなど時間の管理や場所探しなどは好きなので特に苦ではないのですが、関東に来てから横浜は通り過ぎるだけで横浜駅周辺と関内、桜木町、鎌倉くらいにしかいったことがなく、しかもほとんどアート、建築目当て。デザインなどには興味があるとはいってもゴリゴリの様式建築を見せられても特におもしろくはないだろうと思ったのです。ですからこの際駅周辺以外に範囲を広げてみて、頭の横浜マップを建築だけでなく食やアミューズメントカテゴリーを取り入れつつ拡張しようと試みたのです。
そこで取り出したのはいつか行くだろうと思って買っていたhanakoの横浜特集と今日また出ていたoz magazineの横浜特集号。西口から少し北に行ったカフェで計画を練りはじめました。この二冊はパラパラとめくるだけでいかにも横浜、と行った感じのレトロな雰囲気を持つ建物の写真や旧居留地特有の洋食、スイーツなどが多く掲載されていました。ぼくはそこから数時間時間をつぶせそうな山手を選び、昼食の場所も選んでおきました。
そこで気づくべきだったのですが、インテリアの写真とおいしそうなメンチカツレツの写真しか載っていない記事だったのです。ほんわかしたインテリア、湯気を感じる洋食。そしていろいろ散策しがいのありそうな山手。向こうの「おなかへった」「何か探しといて」という要求を呑むにはうってつけの場所だと思い、電話までしました。
そして昼過ぎに彼女と合流、山手に向かいました。ぼくの中にはレトロな雰囲気と壮厳な建築群のイメージしかありありませんでした。しかし石川町駅を降り、大通りから一本入った道に出て、進んでいくとまさかと思いました。インテリアから想起される外観とは打って変わって普通の食堂のようなファサード。昭和の匂いを感じる店名のフォント。びっくりしました。でも雑誌で見た名前と一致しているし、場所も完全に一致。しかし電話までかけてしまっていたし、彼女も特に気にする様子もないので中に入りました。
やはり、というべきか写真でみたインテリアがありました。しかし壁とテーブルだけ写ったその写真はにぎやかな雰囲気や実際的な食器などのイメージを払拭し、完全にリアルからかけ離れたイメージを作っていました。といっても記事自体はやはり真実で、味はとてもいいものでした。
ここでぼくは別に騙されたと言いたい訳ではありません。結果的にはとても料理はおいしく、量も想像以上だったし気持ちよく散策を終えることができました。ですが、写真、文章をうまく料理したマスメディアというものにその良点と欠点の、しかも二律背反の概念を感じずにはいられませんでした。
その写真の切り取り方はこの店のイメージを最大限にまで引き出している一方で、そこには欠落した情報を見せていないという条件がある。このメディアの切り取りと意図は明らかに誤解を招くものです。だからといって全てを出せとは言いません。ここになにか打開策があるともいいません。向こうは情報を売る仕事をしていてぼくはそれを買った。雑誌はやはり全体の雰囲気も大切になってくるのでそういう切り取り方がうまいとされるということもわかっています。しかもその情報が行ってみてそのままだったという人もいるだろうしそう言わない人もいると思います。つまり、受け取り方は個人に委ねられます。
やはり、何事も自分で確かめることが大切で、一つの主観的な情報としてみることの大事さを再確認しました。