就職活動の雑踏の中、ぽつんとあいた日曜日。

中目黒は何度か来たが、今日のように晴れた日はなかった。駅前に以前は5層程度しかできていなかったマンションが30層ほどになっており、ここにも眼に見えぬ、この街に住む人の声も届かぬ金融経済の権力が見えない世界で回っている。土地消費の遊び場である新宿、渋谷に近いとはいえど、単なる土地ではなく場所として生活を根ざしている人々にとって街の強奪でしかない。雨の日の散歩がとても心地よかった印象が若干薄れた。

友達に紹介してもらったサロンのオーナーは姫路出身だった。
イントネーションですぐ関西人とばれた。そのあと期待してた大阪に関する質問はなく、質問後すぐにカットに集中しだす美容師。しゃべるのも仕事のはずの美容師に若干の不安を抱きつつも、
甲子園球場行ったことありますか?」
と投げかけると
「あります。ぼく姫路なんです」

・・・
そこ大阪ってわかった瞬間に言うべきちゃうの?
このノリの違いは同じ兵庫でも摂津と播磨、旧国のせいか?


まあそれはいいとして問題は髪。


。。切り過ぎた。
ベリーショートの似合う顔の形は絶対にしていないのに就活のため中学時代のスポーツ刈りに近い印象。100%笑われるが清潔感たっぷり(?)なのでいいとしよう。サロンの雰囲気も気に入った。


UPLINKで自閉症の人の映画を見ようと思ったが2月からだったので今日は映画はなし。
SPBSにいってしばし本を眺める。前回あったオバマ氏の就任演説を見ながら学者か誰かを読んでしゃべるみたいな企画のことが気になっていたが特に後日資料的なものもなかった。
SPBS(Shibuya Publishing Booksellers)は政治からデザイン、ファッションなど様々なジャンルの本を選書家の幅 允孝氏が選び、インテリアデザインを建築家の中村拓志氏が手掛ける。さらにPublishingとついているだけあって、編集、出版を行っている。店舗の向こうにガラスを挟んでDTP作業用のパソコンなどが置いてある部屋がみえる。
本と一口で言っても一般的な書籍からマンガ、雑誌までその形態も様々。単なる書店に飽きて、少し刺激を求めるには絶好のスポットだ。選書の内容もよくある洋書専門店においてある気取った洋雑誌だけでなく、コンビニでも売っている女性誌など幅が広い。

折角なので東急の裏にある松濤美術館へ行き、渋谷駅へ戻る途中にカフェというより明らかに喫茶店、という所に入る。
中のインテリアは古材を使用した今時のおしゃれカフェのような部分もあるが、その他はレトロというべきか、カウンターごしにマスターと呼びたくなるおじいさんがコーヒーをいれてくれる。渋谷にこんなにいい場所があったなんてと思いながらメニューを見て若干引く。

コーヒー890円也

が、これは普通の値段だと思うことにした。こんな大都市の中にこんな静かな場所が用意されていておじいさんの娘さんか、中年の女の人は店内に客が一人になってしまったぼくに「誰もいないけどゆっくりしていってください」と声をかけてくれた。
どこかの廉価コーヒーを出して座りにくい椅子でここは公園かというくらい何の干渉もしてこない店員のいる、しかも訳のわからん会話を無理に耳に飛び込ませてくる劣悪な環境を提供する大手チェーン店とは違う。その代償があの安さなのだ。これが普通。

このギャップは、いろいろなことを考えさせてくれた。