鳩山総務大臣発言で注目を集めている東京中央郵便局について、建築専門家側からの発言が朝日新聞の文化面に掲載されている。

http://sankei.jp.msn.com/photos/economy/business/080625/biz0806251850014-p1.htm
中央郵便局を一部保存したJPタワーの完成予想図は、同じく東京丸の内に存在するビルと同様の手法だ。この手法は民間の保存と開発を共存させる手法としてある種定着した形。この記事でも銀行倶楽部、日本工業倶楽部、大手町野村ビルが挙げられている。

http://4travel.jp/domestic/area/kanto/tokyo/tokyo/nihonbashi/travelogue/10191394.html

http://www.shimz.co.jp/tw/works/01office/200305nihonkogyo.html
京都工芸繊維大学の中川理氏はこの手法を「アリバイ」とし足し算的な解法だと見ている。「こうやっておけば保存」だということ前面にでている。これを歴史を「生かした」保存というのはおかしいということだろう。
東京大学鈴木博之氏は「物が動く」郵便局の機能性、システムを外観にも表したところに評価すべき点があり、一部を保存するのは何も意味がないという。
といっても先に挙げた例が短絡的だという批判の一方で設計者・事業者側が求められる効率性が変化するなか、かけ算的なデザインの追求はされているだろう。単なるハリボテではなく、効率性の落差をデザインで埋めることこそ時代に変化するための現代の課題でもあるのだから。
もちろん、一つの手法として、特別な都市計画がなされている東京駅周辺では容積率を転売することも考えられる。しかしこれは鳩山氏と郵政の議論の争点にもなっているように、経済的に割にあわなくなる。
ここで求められるのは政治・経済的なことや便宜的な文化ではなく、建築的な新たな解法であろう。近代的な空間構成、価値を取り込み、現代という時代情勢にかなったデザイン手法を提示することが建築側には求められる。
イギリスのノーマンフォスターなどの手法や青木茂氏のリファイン建築を研究してみるのもおもしろいかもしれない。