少し汗ばむくらいの天候のなか、石川町から歩いて山手にあるレーモンドの遺作に行く。
モダニズム初期の作品。もとは白く塗られていたものが私たちがいくとその塗装ははがされ、次の塗り替えを待っている状態だった。鉄筋コンクリート造の白いキューブは、こののどかな丘の頂上にどのように佇んでいたのだろう。
内部の塗装をはがす作業は一階と二階で違う下地を使っていたことから年代の違いを感じて、この建築の歴史を目の当たりにしたような感覚。しかし窓まわりのディテールは当時のままで、閉まらないように工夫する金具など今では見られないモダニズムのなかの「人間くささ」が残っていた。
作業終了後は二度目の山手、元町を散歩して、ルノアールでひさしぶりのおいしいコーヒーを頂いて帰る。