研究室の主催として民家の茅葺きを実際に体験できるワークショップが行われる。といっても企画などは職人の方が起こし、そのサポートとして研究室から準備、当日の担当などを担う。
残念ながら明日明後日は他のワークショップと重なってしまうが、実際に1分の1の茅葺き模型を作ることによって曖昧になっていた茅葺き屋根のプロセスを体験的に追うことができた。
今回の準備は、茅葺き屋根の民家が建ち並ぶ民家園の中に茅葺き屋根の1分の1模型をつくり、その横で実際に使用される職人の技術を子どもに教えるというワークショップである。私たちが現場につくと、前日から準備をしていた職人の方が既に屋根の骨組みをつくっており、後は茅を葺き、仕上げるといった状況だった。
まず第一に、乾かした茅の整理。自衛隊の演習場で取られる茅が最高に質がいい。というのは、自衛隊が訓練のため採草地を一度焼き払いリセットするため、毎年更新され、劣化がないためだ。そこに特別に入ることを許可された人が、一定時期に茅を収穫にいくという。
その茅の束をまとまって綺麗なもの、少しぼさぼさとなっているもの、背の低いもの高いものに分ける。ここでの整理したものが何層にも亘って重ねられる屋根の層を決める。背がひくく、比較的綺麗なものをまとめ、断面が約20cm×7cmの束にする。ここでコンベックスを使って計ってもいいのだが、実際の屋根職人は手の感覚だけで同じような寸法のものを大量に生産できる。実際に職人の方がやったのと自分のものを比べてみたが、密度、寸法と全く歯が立たない。他のところにもところどころ自分の身体をコンベックスとして使用する箇所が多く出てくる。一重に職人的技術という曖昧なもののような響きは、確固たる経験と、身体的感覚の鋭さによって成り立っている。
次に、その綺麗な束を骨組みに軒側から縄で紡いでいく。骨から束へ、そして次の束へ。今回の模型は一坪分の茅を葺くのだが、一列に約6羽。そしてその列をやり終えると先程のぼさぼさとなっているものを重ねていく。形を整えながら、隙間を作らないように茅を葺いていく。そこまでやると一度形を整えるためにも勾配を見ながら突き出た茅を押し込んでいく。勾配は通常45°だ。
そして竹と縄でそこまでの茅を骨組みに巻き付ける。裏鉾という骨組みに取り付けられた竹に、表面から縄を回し、表面の竹をくくり付け、固定。竹の水平、屋根の勾配を見ながら順次上までくり返していく。