久しぶりに日本映画を立て続けにみる.
あまり昔のものがみれてないので「日本映画」というジャンルを系統的に語れるわけではないが,「ひらがな」の雰囲気に表象できるだろうか,ゆったりとした時間の中に流れる微妙な人間模様はにははやりリアリティがある.

たみおのしあわせ [DVD]

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ホノカアボーイ [DVD]

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バトル・ロワイアル II 鎮魂歌(レクイエム) 通常版 [DVD] バトル・ロワイアル II 鎮魂歌 東映ビデオ
この「世界」に内在するヒエラルキー.どこかに敵がないと平和はないのだという今に蔓延る疑似平和という幻想.
この強力な磁場が存在する限り,自由も自由ではない.
世界,アメリカ,日本,資本主義,会社,友人,仲間,家族,そして自分.大きなものを守るために必要な犠牲を,奇麗事だけで済まされない世界を,自分の周囲だけでも求めることは間違った,子ども染みた考えだろうか.
「社会」という存在で生まれた平野啓一郎のいう「ディブ」のようなものが存在する以前の,素のような状態というものは幻想だ.友人,肉親の前ですら,人格は相対化され,それぞれの仮面をもつ.この,全てが宙吊りになったような状態の中,全てを転倒させる手段は,「何も知らない」ことでしかないのかもしれない.どこかに従順に生き,細々として小さな幸せに生きる.それが生きやすいことなのかもしれない.このことに答えはない.それは,生きるということにいつも付きまとう,宿命であって,それを考える事が人生なのかもしれない.
大きな世界という枠組での戦争,紛争と,日本という枠組,そして自分の身の回りの小さな枠組に縦串をさすような,秀逸な作品であるともいえる.

ドーン (100周年書き下ろし)

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闇の子供たち プレミアム・エディション [DVD] 闇の子供たち ジェネオン エンタテインメント
ジャーナリストとNGONGOでタイにいったに対して「何でタイなの?日本でもできることはある」「どうせ自分探しなんでしょ」という言葉には刺があるが,リアリティもある.目の前の人の命を助けるNGOに対して売春,邪道な臓器移植の仕組みを変えようとするジャーナリスト.NGOの方法は走って追いかけ,捨てられそうになった子どもを助け,ジャーナリストは目で見たものを記事に書く.
臓器移植という現実の裏にある大金の流れ.経済の停滞している国での幼児売春.感情に振り回されることを良きとするか悪いとするかは,その立場により決定される.そしてその活動は時間軸として表れ,善悪はそこには存在しない.
宮崎あおいの演技に若干イライラした自分はやはり後者に惹かれるのであろうか.ストーリーにも葛藤と苦悩がよく表現された作品だった.