・環境を整備すると言う事 ー建築以前の「モノ」を構築した過程ー

去年からかけてつくってきた本棚が完成した。

学生時代ステンレスの棚に平積みしていた本たちが、やっとこさ立ち上がることができたようなもんだ。ここまで月数がかかるとは思ってもなかったが,資金の問題やら資格試験やら社会人としての自分と、プライベートの自分のバランス感覚を養うにはもってこいの作業だったように思う。最初の模型作製の記事にもある生活を組み立てる作業は、長いスパンで未完成を確実に意識しながらかつ社会人としても生きる腰を据え、目標へのプロセスを可視化していく作業だったからだ。

スタディ、図面作成完了段階 2010年5月3日
第一フェイズ:2/7完成段階 2010年5月4日
第二フェイズ:4/7完成段階 2011年1月3日
第三フェイズ:7/7完成 2011年1月27日

「自分のためのものを自分でつくる」。ここまで贅沢な時間の使い方はない。今の自分を最大限に発揮するための行為は人によって異なるが、ぼくの場合は絶対的に本をブラウジングできる環境が必要だった。仕事の関係の本は別で整理してあったが,本を埋もれたままにしておくと主題とする思考の整理がつかない。また、これはもはや本棚ではなく、部屋の一部の構築であり、すなわちそれは生活の一部の構築である。
ぼくにとって環境を構築する事は日々何か書き物をすることから掃除など一般的生活までを「自分としてどうあるべきか」を方向づける事である。これも環境管理型の権力と言えるかもしれない。モノに誘導され、無意識に生活が変化することもあるだろう。例えば椅子を一つ増やすことは朝どこに座ってコーヒーを飲むかを変え、無意識に眺める風景を変える。整理整頓の基本かもしれながい、細かな物の居場所を決めておく事にもなり、普通の生活の中でのノイズを減らす。

約八ヶ月間に亘って本棚とデスクをつくった後、すなわち今日以後のぼくの生活は変化するだろう。それはこのブログに断絶的に記述している建築や都市への思考を図書館の自習室という媒介を通さずに都市と自分の部屋の二項対立で明確に行っていく事ができる。