WHAT IS OMA―レム・コールハースとOMAについての考察 WHAT IS OMA―レム・コールハースとOMAについての考察/ヴェロニクパテヴ
OMA、AMO、レム・コールハースについての批評集。
建築以外の専門の人物の批評がある時点でコールハースの多角的な行動が窺える。同時に、そのことは時代が注目する21世紀の人物とされることも暗示しているかのようにも思える。おそらく、建築家としては間違いない。
しかし、内容である批評として有効性をもつものとして挙げられるものは少ないように思えた。おそらく、ここで言論を展開する全ての人物が各分野で名のある人物なのであろうが、「デリリアス・ニューヨーク」、「S,M,L,XL」をはじめとするコールハースの『解説』に終わってしまっている所もある。それに、コールハースの言動に対し傾倒している文章が大半でしかも編集的にも肯定的/否定的のどちらかといえばどこか肯定的なものを支持しているようなデザインであり、「考察」する文献という批評性・自律性のある書物としてより前述の通り『解説書』に成り下がってしまっている感がある。『批評』と『解説』の両者の定義は人それぞれ違うものであろうが、ここでは新たな解釈、価値の創造として『批評』という言葉を使いたい。だがそれはコールハース自身が社会、建築に対する優れたクリティックであり、多大な影響力をもつからなのかもしれない。そういうことを実感できる書ではある。
加えて言っておきたいことは数少ないOMAに関する日本語訳書(訳の善悪はおいといて)であり、しかも言語学社会学側の人間がこのような人間・組織について批評をしているという点においては貴重であるということである。