金刀比羅宮 / 鈴木了二

本宮まで約800段、奥院まで約700段。地形に石を置いただけのようなランドスケープであるが、都市の中にはない久しぶりの山岳体験であった。
鈴木了二による金刀比羅宮プロジェクト。現代建築であるがその違和感を全く感じさせない、見事な歴史との連続性を見せる。内部を見れなかったのが残念だ。
金刀比羅宮までの道のりの途中にあった百何年に一度のふすま絵の展覧会では、鈴木了二金刀比羅宮の依頼をした金刀比羅宮文化顧問であり美術家の田窪恭治のふすま絵などを展示している。過去のプロジェクトである「林檎の礼拝堂」が気になる。屋根に色とりどりのガラス瓦を使用した神秘的な空間であるに違いない。
奥院の建物はちっぽけであったが、そこから見える景色はやはりそれだけ登ってきたことを物語る。
展覧会の開催されていた書院の中に蹴鞠をしていたという庭があった。そこには式木(四季木)と呼ばれる4本の木があった。それぞれ春夏秋冬に咲く樹木で、ほぼ正方形の庭に正方形の領域が区切られ、その内側に4本立っている。蹴鞠の境界を決め、相似的な頂点の決め方で木を配置しただけなのだが、すごく異様な風景にみえた。秩序づけられた自然だからだろうか。気持ち悪い。