Helsinki

ビルとビルの間には隙間がなく、建物が寒さで縮こまっているような感じ。表と裏を繋ぐアーチ状の抜け穴が多く見られる。
フィンランド全体、北欧全体がそうなのかもしれないがあらゆる物がロゴによって表層を作られている。飛行場から消化器まで、視覚的にかなりわかりやすいサインとして媒介されている。

9:00 Kiasma Nykytaiteen museo Kiasma

写真にはない空間性に圧倒される。エントランスはまるど人々を吸い込むようなスロープと緩やかに落ちるトップライト。その控えめな吸引力と包容力がスティーブン・ホールらしい。
そこから順当に出現するアーティスト毎の展示室はスムーズに連結されエントランスホールがそれらを方向をもったシークエンスとしてまとめあげるという線状の求心性がある。
東側のアール状の壁は作品を緩やかに包み込む光として一つの環境を作る要素になる。

Design Museum Designmuseo
中世から現代までのデザインに関する展示。
個性的な椅子が多い。あまりピンとくる展示はなかったが北欧のデザインに対する興味が窺える。

Rock Church Temppeliaukionkirkko
周囲がこの場所に向けて坂道になっている、つまり小高い丘にこの教会は位置する。といっても教会堂の空間はは岩の中をくり抜いたように存在する。山の内部にあるかのようなこの空間の内壁のテクスチャーは岩そのもので上部のトップライトから光が降り注ぐ。岩のテクスチャーは光によってコントラストが強調され自然に近い意味で聖的な空間である。

Helsinki Shrine Tuomiokikko
ヒューマンスケールを逸脱したヴォールト、ステンドグラス。神聖な空間で、文字通り神の領域である。



アルヴァ・アアルトによるコンサートホール。


首都ヘルシンキ市内は巨大な集合住宅や現代的なビル(高層は尖塔以外は見当たらない。)が多いが適度に広場が点在し、道幅も一本一本が広い。
建物それぞれにアイデンティティが見えどこをとっても特徴的な景観である。逆に一つ一つの誇張が激しい。どのディテールからも全体への配慮が見える。地形としては緩やかな傾斜から海側は美しい港に広がる。
新旧の建物が混在するヘルシンキであるが新しい建物には過去への敬意があるように感じる。しかしそれは単なる古典主義ではなくいわばヘルシンキという土地への愛がある地域主義的な感覚である。ヘルシンキの現代はしっかりと現代の延長上にある。

宿泊したホテルは普通のビジネスホテルであるが日本に比べるとかなり広くベッドもダブルくらいありそうだった。テレビ番組もエンターテイメントみたいなものは少なく、真面目に報道をしているような感じ。
この日は日中でも-3℃で雪が積もっていた。夜は大雪で次の日になるとかなり積もっていた。