安藤忠雄展 @ギャラリー間
実質的なデビュー作である「住吉の長屋」から近作のドバイでの作品まで、模型と図面で紹介している展覧会。
なんといってもこの展覧会の目玉は「住吉の長屋」のモックアップであろう。ギャラリー・間の特徴でもある外部の展示スペースと内部の展示スペースを横断するように設営されていた。伊東豊雄氏の「中野本町の家」と並んで現代住宅史に確実に残るであろうこの建築は都市からファサードを遮断し、内部の空間で豊かさを目指したものである。
運がいいのか悪いのか、ぼくが訪れた時は雨が降っていた。長屋を平面的に三分割し、挟まれた一ブロックを空へと解放した中庭は雨で濡れており傘をささなければ向こう側へはいけない状況。今ぼくは展示としてこういった一連の流れを体験しているが、今もここに住んでいるという施主は雨が降るたび、傘をさす。生活の一部として雨を受容しなければならない。一般的に自然を感じるというのは草がちょこんとあるだけであったりするだけで単に癒しの一部のような存在として扱われている。しかし少し大げさかもしれないがこの住宅では自然は時に脅威を、時に安らぎを与えてくれる存在として人間と対等な関係にあるといえる。それは全てがそろっているキャンプ場にいくのではなくテントと寝袋だけ持って山へ入っていく事と同じである。自然は台風であれなんであれ容赦ない時は風で何もかも持っていってしまうし、それが過ぎ去ってしまうとこの世に自分しかいないかのような極度の静けさを与えてくれる。この自然を生活に取り込む事を安藤氏は提案した。
自然界のプリミティブな要素を扱う氏の初期の作品はすごく好きだ。