バイト先でテープ起こしをしている。
テープ起こしというのは、建築家などへインタビューした内容を文字に起こす作業だ。出版社ではおなじみの作業ではないだろうか。
編集者の人の取材を文字に起こしているとそのやり取りに驚くことがある。はじめは少ししゃべり過ぎの感はあったが、建築家の言ったことを逐一整理して返すというのは、相手のテンションを保持することにかなり貢献していると思う。よく考えてみれば、取材も一種の会話であり、取材者がどこまで自分の欲しい情報を引き出すことにある。初めての相手でもここまで親密になり、笑いさえもでてくるリラックスした雰囲気にすることでどんどん情報を引き出している。

取材は会話。これは記者という職業が人間的であることを示しているように思う。
初対面の相手の心をいかにつかむか、会話をどうデザインするか。このことはある意味日常的な行為であると共に、情報収集やプレゼンテーションなど、仕事などの場面でも基本的な能力になると思う。
先日講演をきいた神足裕司氏の「空気の読み方」は筆者がジャーナリストとしての経験を活かし、記者の仕事だけでなく営業職など人を相手にする職業者に向けての基礎講座である。様々な場面での記者として、ビジネスマンとして、そして人として取材するという目的がどれだけ人と人ということを考えるきっかけにしてくれるかを教えてくれる。