CELLULOID JAM/前田紀貞

敷地に足を踏み入れた瞬間に、官能的な肌触りを覚えたという。その感覚から生み出されたコンセプト、「メビウスの帯」。一枚の平面をもった立体的に回転しているトポロジカルな形態。これを建築化すると、一度も途切れることなく同じ場所に戻ってくる空間構成を得られる。それを機能、敷地に対応させる。
もちろん、通常の立方体を基本とした建築よりも絶対的な面積は減少する。しかし、機能、敷地の境界をなくした建築は、高所の立地で広く空と街を見渡せる条件と相まって敷地という制限を無化する。
ここでの生活は通常のものとは全く違うであろう。しかしそれは生活という人生の断続的な感動と流動性をもった流れを一体化する、全く新しい提案になっている。