・いま

現在、今までで最高に自分に合うお客さんと物を作っている。といってもそこに建築的なイデオロギーやコンセプチュアルな会話があるわけではない。提携している建築界でも有名な建築家とセッションしているわけでもない。でもそこには、ものをこだわりを持って作り上げていく最高に楽しい時間がある。


それは結局、客観的に見ると建築的なレベルの低い次元に位置しているのかもしれない。デザインをかじった程度でしかないぼくと、素人のお客さん。雑誌に出るまでの建築ができるわけでもないだろう。決して自虐的な意味ではなく。でも社会人2年目になったばかりでかつ少しデザインに興味のあるぼくと、今必要に迫られて建築を思考しているお客さんが出会ってしまった一回きりの物語だ。ぼくにできることは精一杯の仕事をお客さんにすること。完結した人間はいない。完結した評価などない。建築的なコンテクストでは評価されることに特に大きな意味はないかもしれない。それはどちらでもいいし、結果論。
でも一つだけ言える事は仕事をしている側も一緒に考えている人も、最高のパートナーに出会い、最高のパフォーマンスを発揮して建築をつくり、街を作っていってほしい。それは個人的な意味でも社会的な意味でも必ず人を豊かにする。資本主義に乗るだけの目的では決して今を乗り越えるのは無理だ。

とりわけいまぼくは、目の前の仕事以外のことを考える事をやめている。10年後どうなりたいか、30年後どうなっていたいか。そんなことを考えていて足元をみないことからは何も生まれない。未来を思考する時間など今のぼくには全くない。というか、自分の中でもう決まっているのかもしれない。だからこそ、今に集中すること、それが今のぼくの課題で、かつ未来を決める。

方向修正など、そのときにやればよい。そのときが来ればやればよい。