神奈川県立近代美術館/坂倉凖三
前面の睡蓮の咲く池を挟ねで見るその佇まいは完璧なまでの美しさである。おそらく現代まで受け継がれるモダニズムの栄光は、この景色に依存せずしかも対立することもなく調和できる普遍性にある。
その池との調和を知りながらも2階からのアプローチという導入とその中で完全な独自の宇宙の展開に一瞬そのことを忘れさせるほどの建築空間の強度を示し、その連続として池を望む半外部空間。このドラマティックなシークエンスと空間構成はランドスケープに出現するオブジェとホワイトキューブ(白い宇宙)を同時に、しかも対峙させ調和させることに成功したモダニズム建築の最高峰であるといえよう。
ピロティでは奥に行くに従って暗くなる空間のマイナス面を空中へのヴォイド、さらに池から天井への光の反射により光を与え、コルビュジェからの発展を示している。