カンポ・バエザの建築 @ギャラリー・間
スペイン、マドリードを拠点に活動する建築家、カンポ・バエザ。
光と重力を主題とし、ミースやコルビュジェを引き合いに出すモダニストかと思いきや、そこには物質性や純粋性を超えたモダニズムの次のフェイズが垣間見えた。
「Less with More」。より少ないなかでの豊かさを、その言葉のなかに氏の建築の全てが詰まっているようにも思える。インタビューの映像では光やコンクリート、石といった最も建築的で原初的な会話が流され、方法論として断面を最大限に活かした光の扱いなどが全面的にだされてはいる。しかし、コルやパンテオンといった参照物にはない感情的情緒が氏の建築からは伝わってくる。無機質のなかに有機質が存在するような、様々なものが入り交じった純粋ではない美。同じモダニストを参照しながらも光を扱いきる安藤忠雄とは全く別の到達点である。それは同じ強固さでも耐えるための強固さではなく、受け流しながらも空間、人、時間の連続した一体感を生み出す。氏はそこに、建築という物質以上のものを見る。空間を意識するということは重力と光、すなわち地球や自然と対峙するということであり、そのバランスことそが我々を豊かさへと導くのだ。ある意味でそれは欠陥を含んだ美ともいうこともできよう。客観的な欠陥を許容できるおおらかさが微妙な緊張感を生み、人びとに空間という豊かな「間」を提供する。