・建築、複雑系

修論も本論の提出が終わり、後は明日の梗概(アブスト)提出、来週の発表を残すところになった。
昨日は梗概の教授チェックを終え、発表の骨格も少し見えたところで講演会に行く事にした。しかし、外は数日前の雪が残るほど寒い。最近全く乗っていない自転車を今日もほったらかし、バスで池上高志氏の著書「動きが生命をつくる」を読み始める。この著者は建築学圏内で話題になっている社会学系統との架構の連関で知ったのだが、渋谷慶一朗氏などとのアート作品の提出のイメージの方が強く、のっけから「物理」を基準にした書物であることに若干の戸惑いを感じた。まだ読み終わってはいないが、福岡伸一氏の「動的平衡」などの生物的とっかかりよりも「複雑系」の方が建築という都市などを相手取る「媒体」には参照可能性があるようにも思える。
講演会は、修論でも参照させていただいている吉見俊哉氏が登場した。氏の修士論文の延長としてまとめあげられた「都市のドラマトゥルギー」は1920,30年代の銀座と浅草からその後の渋谷、新宿という都市の「盛り場」を考現学的に提示した書物であった。そのような市井の人びとの目線ともっと大きな枠組みを架構しようとしているのが氏であり、今日も興味深いお話を聞く事が出来た.

動きが生命をつくる―生命と意識への構成論的アプローチ

動きが生命をつくる―生命と意識への構成論的アプローチ

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

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都市のドラマトゥルギー―東京・盛り場の社会史

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