architecture

自由が丘、園田邸へ。 園田邸は吉村順三設計の住宅であり、そのうえ後期になると門下の建築家小川洋氏が増築を施した。 個人住宅でいまも人が住んでいるこの建築に入ることができたのは、この家の保存しながら運営していこうという園田さんの意向とそれを協…

自由学園/遠藤新、遠藤楽 五十嵐氏もいっていたように、この学校には正面性がない。その点では学校というよりも公園のようで心地の良い、隔離されたサンクチュアリのような存在だ。ライトから確実に受け継がれた大地との接続性、身体性を感じることができる…

横浜美術館/丹下健三

日経アーキテクチュア 090511号 特集「岐路に立つ有名建築」 近年新聞などでも多く報道されている建築保存についての特集記事。長い期間わたって問題とされている東京駅、鳩山氏の発言に社会的にも浮上した東京中央郵便局などが掲載されている。経済性、技術…

談山神社 舒明・皇極二代の天皇の世、蘇我蝦夷と入鹿親子の勢力は極まって、国の政治をほしいままにしていた。この時、中臣鎌子(後の藤原鎌足公)は強い志を抱いて、国家の正しいあり方を考えており、たまたま飛鳥の法興寺(今の飛鳥寺)で蹴鞠会があったと…

千光寺 奈良県平群 役行者が山上岳(大峰山)へ入山する以前に修行したと伝わる寺。 天智天皇の時代に役行者が千手観音を刻んで祀ったのが始まりとされる。その観音様から千光が発せられたので千光寺と名づけられたそうだ。いまでも修行僧の募集をしている。…

大阪中央郵便局 柱の間にすっぽりと納まった窓。タイルの張り方や水切りの付け方。機能に対応した階高。 現代建築よりもより建築的なディテール、考え方の宝庫である。完結性や機能性が標榜されるモダニズム建築ではあるが、モダニズム建築とはそれ以上に建…

阪神淡路大震災記念 人と防災未来センター 阪神淡路大震災の記憶をとどめることが目的の公共施設。どこかの小学生が見学にきていた。最初の映像はかなり強烈。上映後に小学生がお化け屋敷よりも怖いと叫んだのもうなずける。事実は小説よりも奇なりとはよく…

MIHO MUSEUM/I.M.ペイ 桃源郷を模したという、信楽駅からバスで20分ほどの場所にある美術館。都会からの距離、山に埋もれた建築物であることを考えると非日常的な要素を前提条件としてもつ非常に恵まれた与条件。しかし、メインアプローチの下を流れる川が…

ニコラス・G・ハイエックセンター 吹き抜けにあるエレベーター兼商品展示に少し驚いた。

鳩山総務大臣発言で注目を集めている東京中央郵便局について、建築専門家側からの発言が朝日新聞の文化面に掲載されている。 http://sankei.jp.msn.com/photos/economy/business/080625/biz0806251850014-p1.htm 中央郵便局を一部保存したJPタワーの完成予想…

村野藤吾建築設計図展 アンビルト・ムラノ @京都工芸繊維大学・美術工芸資料館建築家・村野藤吾は、日本に多くの作品を残している。しかし、経済の情勢等の変化で建設が中止になったものも多数ある。アンビルトというと建築家がクライアント相手にではなく…

横須賀美術館/山本理顕設計工場

横須賀総合高等学校/株式会社アルコム

全66のゼネコンが会員となっている社団法人建築業協会。BCS賞はその建築業協会の主催する表彰事業だ。この賞の最もユニークなところは、建築主、設計者、施工者のコラボレートを重要視し、総合的な観点から評価する。設計者だけでなく、施工者にとっても大き…

建築が建築のためにあるのでないように、建築学科も建築のためにあるわけではないと思う。 設計という課題には、さまざまな要素が含まれる。デザインはもちろん、構造、環境、都市計画、建築計画。その諸要素をまとめあげることこそ課題の醍醐味だ。別の次元…

東工大百年記念館/篠原一男 駅をのエントランスを出ると、地図で確認するまでもなく突如としてそれは現れる。機会仕掛けの怪獣のようなその佇まいは、アクション映画のプロローグを見たかの衝撃。「ザ・東工大」と言わんばかりに水平に倒された半円柱は幾何…

世田谷美術館/内井昭蔵 少し暑いくらいの日差しを浴びながら、世田谷美術館に到着。 前回の石山修武展に続き、二度目の訪問。相変わらず人々のランチタイムには絶好のスポットになっている。砧公園内に存在するこの美術館は、まさしく公園、環境と「調和」…

軍事要塞が津波から命守る スリランカ、ゴール旧市街について 2004年、インド洋で起きたスマトラ島沖地震による大きな津波。大きな被害が出たこの津波から、歴史的遺産が人々の命を守った例がある。それがスリランカの南に位置するゴール旧市街。ヨーロッパ…

横須賀美術館/山本理顕緑の芝生に真っ青の空。その結節点に佇むこの建築は、白という白を超えた、極限の白を持っていた。天気が良過ぎたのか、緑がかったガラスの効果なのかそれは白というよりも無色に近い白であった。これが氏が求めるものであるのであれ…

神奈川県立近代美術館別館/大高正人 内部を反復するコンクリートアーチの連続フレームは空間に柔らかな光を不変的に供給する。完全に隔離され静寂に包まれた空間はアプローチから確認できるヴォリュームとは物理的にも感覚的にも大きな違いがある。強く確保…

神奈川県立近代美術館/坂倉凖三 前面の睡蓮の咲く池を挟ねで見るその佇まいは完璧なまでの美しさである。おそらく現代まで受け継がれるモダニズムの栄光は、この景色に依存せずしかも対立することもなく調和できる普遍性にある。 その池との調和を知りなが…

東京メトロ副都心線新渋谷駅/安藤忠雄 地下に埋め込まれた巨大な卵。そのプロジェクトは数十年前の氏の構想である中の島から続いている。「アーバンエッグ」と名付けられているこの作品群はその名の通り地下に卵が埋め込まれる、すなわちダイナミズムを孕ん…

六本木ヒルズ 設計: オフィスはもちろん、ホテル、美術館など文化的機能まで持つ巨大塔状都市。上部の展望台、美術館にはエレベーターで何事もないように到着する。展望台では東京タワーや新宿のオフィス街など360°望むことができる。この建物の最上階のこ…

最高裁判所 設計:岡田新一裁判などを主題とした映画に頻繁に現れるマッシブな量塊。 物語を通すと余計に感じられるその重量感は裁判という「社会的」判断を行う機構にはふさわしい。真実を見極める機構。それが表象されるには、開口部や透明性のあるファサ…

国立国会図書館 設計:衆議院、参議院など政治的建物の集まる官庁街にGLを下げ全体を低層にひっそりと佇む。 所有する書籍をすべてネットワーク化し、ピンポイントで注文するシステム。図書館ではぶらぶらしながら目に付いたものを手に取る、本との出会いの…

日建設計による百十四銀行本店。テクスチャー、ファサード共にいい感じ。 JA57:文化遺産としてのモダニズム建築DOCOMOMO100選、新建築1967年2月号に掲載。

香川県庁舎 / 丹下健三丹下健三による香川県庁舎。当時伝統論争が巻き起こる中、縄文なるものとコルビュジェからの移植であるピロティを展開する。公共性そのものを具体化するピロティ、重々しいテクスチャーのコンクリート打ち放しの外壁、そして全てのフロ…

金刀比羅宮 / 鈴木了二本宮まで約800段、奥院まで約700段。地形に石を置いただけのようなランドスケープであるが、都市の中にはない久しぶりの山岳体験であった。 鈴木了二による金刀比羅宮プロジェクト。現代建築であるがその違和感を全く感じさせない、見…

建築的行為は技術的行為であり芸術的行為ではあるが哲学を表現するものではない。すなわち、イデオロギーというものを深く追求するものではない。しかも、社会との媒介であることに過ぎず、形成の過程においての人間的表現は少ない。これは物に対する創意の…